お金の戦略コラム スタードッグス 黄金の法則

表本来のリレーションシップバンキングとは?

昨今、中小企業が借入をしていたビジネスローンなどが返済不能となった場合、
少額ずつの返済意志があったとしても「本部の認可がおりない」などとして、
リスケジュールに応じてもらえないパターンが多いです。
また銀行側が多忙を理由にリスケジュール要請しても放置される件が散見され、
ひどい場合は1ヶ月以内の延滞でも即刻サービサーへ債権譲渡となる場合があります。
相手の返済能力を十分確認せず金融機関の融資残高増加と収益確保の為に走った無担保融資のバーゲンセール。

平成15年に金融庁が「リレーションシップバンキング(=リレバン)に関する通達」を出した頃から、各銀行のトップは「無担保ローンで中小企業への融資残高を増やす事がリレバンだ!」とばかりに
返済能力や経営計画を無視してガンガン融資量を伸ばしました。
この「リレーションシップバンキングに関する通達」には、何も融資量を伸ばせと書いているわけではありません。
ざっくり言えば「そろそろ不良債権処理は済んだろうから、日本経済発展の為、
地域の中小企業の経営や金融のドクターとして、中小企業を応援してあげなさい」と、といった内容。しかし実際は、ムチャ貸しをしておいて、返済不能に陥ったら、放置プレイかサービサーに「ポイッ」...といった有様。

いったいこれのどこがリレーションシップ(=顧客と良好な関係を築く)でしょうか??
また、消費者金融はあれほど「貸し手責任(※1)」で叩かれたのに、銀行はお咎めなしなのにも納得がいきませんよね。

【借入モラル低下の循環過程】
本来リレバンの目的である中小企業の経営や財務の管理・指導を怠った銀行の安易な貸出姿勢 
⇒ 中小企業の金融リテラシーの低下 ⇒ 企業実態、経営計画に合わない借入 ⇒ 返済遅延・返済不能 
⇒ 銀行は再建案など検討せずサービサーへ債権譲渡 ⇒ 企業は当初借入額の数分の一に債務カット 
⇒ 返済意志の低下 ⇒ 中小企業金融のモラルハザード(※2)

私は上記のような循環で中小企業の借入に対する倫理観の低下、つまり「モラルハザード(※2)」が発生する事を懸念しています。
(金融機関のモラルハザードについては沢山言いたい事があるので後日、別のコラムでも書いていきたいと思います)
スタードッグスでは出来るだけ中小企業の社長のお話聞き、会社の財務を改善しつつ、借入に対するモラルを上げて日本の中小企業金融に貢献しようと日々努力しております。
お悩みをお持ちの方は是非スタードッグスまでご相談下さい。


☆本日の黄金の法則☆
金融モラルハザードは日本の恥! 健全な経営は、健全な倫理観に宿る!


※1:「貸し手責任」...金融機関の融資時に伴う責任を言う。貸し手の信頼を裏切り予定していた貸出を中止したり回収したり、融資にあたって弱い立場の者を差別したりした際には貸し手責任を追及される場合がある。更に貸し手は、借り手の返済能力・返済意思を十分に確認せずに信用を供与してはならないとされる。金融機関の利益のためだけに貸出をしたり、加盟店と結託して借り手を騙すような行為は行ってはならない。弱い立場にある者を守り育てるのが金融機関の貸し手責任である。

※2:「モラルハザード」...元来は保険用語。火災保険をかけている為に逆に火災事故に対する意識が低下し、事故率が増加する、といった事柄などを指す。銀行業界で初めてモラルハザードという言葉が使われたのは1980年代のアメリカのS&L危機の時。S&L(貯蓄組合)が業界の規制緩和を利用しハイリスクのジャンク債運用で高利を謳い顧客から預金を集めた。「失敗しても預金保険で救済される」という安易な考えが生み出したもので、結局はS&Lの大量破綻を起こしアメリカ金融危機に繋がった。

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